理事長挨拶

【はじめに】
このたび、茨城保健生活協同組合の理事長として、皆様にご挨拶申し上げます。私は現在、城南病院の院長も兼任しており、新型コロナウイルス感染症という未曾有の公衆衛生危機の中で、現場の指揮と法人の舵取りを担ってまいりました。 パンデミックを経て、私たちの生活様式や医療へのニーズは大きく変化しました。しかし、どのような時代にあっても変わらないものがあります。それは、「病める人の立場に立つ」という私たちの原点です。
【スーパーの2階から始まった「無差別平等」の灯】
当法人の歴史は、1972年、水戸市千波町のスーパーマーケットの2階を借りて開設された「水戸共立診療所」から始まりました。資金も設備も不十分な中、「お金のあるなしにかかわらず、安心してかかれる医療機関がほしい」という地域の人々の切実な願いと出資によって誕生したのが、私たち茨城保健生協です。 その後、1980年の城南病院建設、数々の災害や困難を乗り越え、今日まで地域医療を守り続けてこられたのは、ひとえに組合員と地域の皆様の支えがあったからこそです。私たちはこれからも、「無差別平等の医療・福祉の実現」という理念を胸に歩み続けます。
【危機的な医療情勢と、存続への覚悟】
現在、日本の医療機関は過去最大級の経営危機に直面しています。2024年度の調査では一般病院の約6〜7割が赤字、公立病院に至っては8割以上が赤字という、極めて厳しい現実があります。当法人もまた、この荒波の中にあり、例外ではありません。 しかし、私たちはここで歩みを止めるわけにはいきません。地域包括ケアの中核として、急性期治療後の受け皿として、そして何より地域の皆様の「命の砦」として、この城南病院と法人を存続させる社会的使命があるからです。
【AIとITで「人」にしかできない医療を】
この難局を乗り越え、持続可能な医療を提供するために、私たちは「変革」を決断しました。その柱の一つが、AI(人工知能)やIT技術の積極的な導入です。 医療にAIを持ち込むことに、冷たさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たちの目的は逆です。AIに任せられる業務を効率化することで、医師や看護師、スタッフが患者様と向き合い、対話する時間を創出したいと考えています。 具体的には、生成AI(ChatGPT等)を活用した文書作成の効率化や業務プロセスの見直しを進め、スタッフが疲弊することなく、本来の専門性を発揮できる「働きがいのある職場」を作ります。それは結果として、患者様への医療の質の向上につながると確信しています。
【地域と共につむぐ未来へ】
私たちは今、歴史の転換点に立っています。50年前にスーパーの2階で灯った火を消すことなく、次世代へとつないでいくために、最新の技術を取り入れながら、経営の健全化と組織の刷新に全力を尽くします。 「医療介護活動を通して、人と人をつなぎ、地域をつむいでいく」。このミッションのもと、地域の皆様、組合員の皆様と共に、新しい時代の地域医療を創造してまいる所存です。 今後とも、より一層のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
2026年1月1日(祝) 茨城保健生活協同組合 理事長 城南病院 院長 菊地 修司
